Research

研究内容

遺伝子機能解析のツールとして広く使われるようになってきているゲノム編集で必要とされるデータ解析基盤技術の開発と、バイオインフォマティクス手法を駆使した遺伝子機能解析を行っています。 特に、データ駆動型ゲノム育種(デジタル育種)技術の開発に注力して研究をおこなっています。 また、生命科学分野のデータベース構築とその利用技術開発にも引き続き関わっています。 その全容は、以下の図のとおりです。

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JST 共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)において広島大学が代表機関をつとめる「Bio-Digital Transformation(バイオDX)産学共創拠点」のもと、研究を進めており、公表可能なテーマとしては以下のような研究が進行中です。 その他、民間企業との共同研究を並行して多数おこなっております。

1. ゲノム編集データ解析基盤技術開発

データ駆動型ゲノム育種(デジタル育種)に必要なゲノム配列解読、トランスクリプトーム測定、ゲノム編集に持っていくためのデータ解析ワークフローなどの各種技術を開発します。 科研費 挑戦的研究(萌芽)「データ駆動型ゲノム育種を実現するデータ解析基盤技術の開発」(2021-2022年度)の支援で進めております。

1.1. 有用物質生産パスウェイデザインシステムの開発

ゲノム・トランスクリプトーム測定データを使って、有用物質生産に関わる遺伝子群をアノテーション(注釈)するプログラムの組み合わせ(パイプライン)を構築します。そして、それを利用してターゲットとなる遺伝子群をデジタルパスウェイ構築によって見出します。 現在は理化学研究所 生命医科学研究センター 生命医科学大容量データ技術研究チーム東京農工大学 大学院農学府 動物生化学(昆虫系)研究室との共同研究ですが、坊農の大学院時代からの研究テーマに源流のある研究です。

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  • Bono H et al (2022) Systematic functional annotation workflow for insects. DOI: 10.3390/insects13070586
    • 【広島大学プレスリリース】「ゲノム編集のための昆虫遺伝子機能アノテーションワークフローを開発〜バイオDXによる昆虫機能利用に道~」(2022/07/07)
  • Sakamoto T et al. (2021) De novo transcriptome analysis for examination of the nutrition metabolic system related to the evolutionary process through which stick insects gain the ability of flight (Phasmatodea). DOI: 10.1186/s13104-021-05600-0
  • Sakamoto T et al. (2020) Analysis of molecular mechanism for acceleration of polyembryony using gene functional annotation pipeline in Copidosoma floridanum. DOI: 10.1186/s12864-020-6559-3
  • Tabunoki H et al. (2013) Identification of key uric acid synthesis pathway in a unique mutant silkworm Bombyx mori model of Parkinson's disease. DOI: 10.1371/journal.pone.0069130
  • Kasukawa T et al. (2003) Development and evaluation of an automated annotation pipeline and cDNA annotation system. DOI: 10.1101/gr.992803
  • Bono H et al. (1998) Reconstruction of amino acid biosynthesis pathways from the complete genome sequence. DOI: 10.1101/gr.8.3.203

1.2. ゲノム編集データ解析のための統合化ワークフローの開発

ゲノム編集による遺伝子機能解析を行う有用な物質を産生する昆虫に関して、アッセンブルしたトランスクリプトーム配列を入力として、ゲノム編集で利用する際に必要なデータ群を出力できるワークフローを構築します。 作成するワークフローは、公共データベースに登録されたゲノム編集関連データも含めてDBCLS/NBDCで開発しているRDFによるデータベース統合化技術を活用する他、Common Workflow Language (CWL)を用いて記述し、そのおかげでワークフローの再現性が保証されます。 ROIS-DS-JOINT2020の支援を受けた情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンターとの共同研究です。

2. バイオインフォマティクスによる遺伝子機能解析

さまざまな生物種やデータに対してコンピュータを駆使したデータ解析手法を開発し、遺伝子機能にin sicilo (コンピュータ(シリコンチップ)の中で)に迫ります。

2.1. 公共データベースからの発現変動遺伝子のメタ解析

公共データベースに登録された発現データを精査し、ストレス刺激の前後でのデータセットを作成してメタ解析することで新しい知見を得ようとしています。 メタ解析とは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析することです。 現在、低酸素刺激と酸化ストレスを対象として研究を進めています。

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  • Tamura K & Bono H (2022) Meta-analysis of RNA Sequencing Data of Arabidopsis and Rice under Hypoxia. DOI: 10.3390/life12071079
    • 【広島大学プレスリリース】「冠水状態で植物の酸素取り込みが減少する「低酸素ストレス応答」のメカニズム解明につながる新たな候補遺伝子を発見」(2022/07/28)
  • Toga K, Yokoi K & Bono H (2022) Meta-analysis of transcriptomes in insects showing density-dependent polyphenism. DOI: 10.1101/2022.05.09.490177
  • Ono Y & Bono H (2022) Exploratory Meta-Analysis of Hypoxic Transcriptomes Using a Precise Transcript Reference Sequence Set. DOI: 10.1101/2022.05.01.489280
  • Suzuki T, Ono Y & Bono H (2021) Comparison of Oxidative and Hypoxic Stress Responsive Genes from Meta-Analysis of Public Transcriptomes. DOI: 10.3390/biomedicines9121830
  • Ono Y & Bono H (2021) Multi-Omic Meta-Analysis of Transcriptomes and the Bibliome Uncovers Novel Hypoxia-Inducible Genes. DOI: 10.3390/biomedicines9050582
    • 【広島大学プレスリリース】「マルチオミックス解析手法によって新規の低酸素応答性遺伝子を発見~公共遺伝子発現データと文献データのデジタルトランスフォーメーション~」(2021/05/25)
  • Bono H & Hirota K (2020) Meta-Analysis of Hypoxic Transcriptomes from Public Databases. DOI: 10.3390/biomedicines8010010

その結果得られた発現変動遺伝子の情報を活用した共同研究を複数展開しております。 その共同研究先としては、関西医科大学 附属生命医学研究所 侵襲反応制御部門、広島大学 原爆放射線医科学研究所 放射線災害医療開発研究分野などです。

2.2. ゲノム育種に向けたミツバチ属の比較ゲノム解析

ミツバチゲノム育種に向けた比較ゲノム解析を行っています。 現在、農研機構 生物機能利用研究部門との共同研究でミツバチ属(Apis)のゲノム配列中にコードされているトランスポゾンを比較解析しています。

  • Yokoi K, Kimura K & Bono H (2022) Revealing Landscapes of Transposable Elements in Apis Species by Meta-Analysis. DOI: 10.3390/insects13080698

2.3. がん化・老化耐性解明のための新しいモデル動物ハダカデバネズミのゲノムとトランスクリプトーム解析

熊本大学 大学院生命科学研究部 老化・健康長寿学講座との共同研究。

  • Oka K, Fujioka S, Kawamura Y et al. (2022) Resistance to chemical carcinogenesis induction via a dampened inflammatory response in naked mole-rats. DOI: 10.1038/s42003-022-03241-y
    • 【広島大学プレスリリース】「がん耐性齧歯類ハダカデバネズミの化学発がん物質への強い発がん耐性を証明~炎症抑制を介したがん耐性機構の一端を解明~」(2022/03/30)
  • Oka K et al. (2021) Diversification of mineralocorticoid receptor genes in a subterranean rodent, the naked mole-rat. DOI: 10.1530/JME-20-0325
  • Kawamura Y et al. (2020) Senescent cell death as an aging resistance mechanism in naked mole-rat. DOI: 10.1101/2020.07.02.155903
  • Oiwa Y et al. (2020) Characterization of brown adipose tissue thermogenesis in the naked mole-rat (Heterocephalus glaber), a heterothermic mammal. DOI: 10.1038/s41598-020-74929-6
  • Miyawaki S et al. (2016) Tumour resistance in induced pluripotent stem cells derived from naked mole-rats. DOI: 10.1038/ncomms11471

3. 生命科学分野のデータベース構築とその利用技術開発

3.1. 公共遺伝子発現データベース利用技術の開発

統合データベースプロジェクトで構築した遺伝子発現GEO目次をベースに、EBIのArrayExpressやDDBJのGenomic Expression Archive (GEA)のみならず、Sequence Read Archiveに納められた配列解読による発現データ(RNA-Seq)も検索できるようにした公共遺伝子発現データ目次(All of gne expression(AOE)))を開発してきました。 JST バイオサイエンスデータベースセンターおよび情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター農研機構 生物機能利用研究部門との共同研究です。 現在は、その技術を活かした公共遺伝子発現データベースの新しい利用技術の開発を行なっています。

3.2. FANTOM国際共同研究におけるデータベース開発

2000年から始まったFANTOMプロジェクト(当時は、Functional annotation of mouseの略で、現在はFunctional annotation of the mammalian genome)におけるデータベース開発で、理化学研究所 生命医科学研究センター他との共同研究。


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広島大学 大学院統合生命科学研究科 ゲノム情報科学研究室 / ゲノム編集イノベーションセンター プラチナバイオ共同研究講座 バイオDX研究室
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